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最低委託証拠金維持率と追証

信用取引においては「最低委託証拠金維持率(最低委託保証金維持率)」というものが設定されています。これは、投資家が預けている証拠金(保証金)に対して、信用取引を行っているポジション(建て玉)の割合である委託証拠金率のうち、最低限守らなければならないラインとされているものです。これを下回った場合は、ポジションを決済するか、追証と呼ばれる追加の証拠金を差し入れる必要があります。


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委託証拠金維持率とは何か?

委託証拠金維持率とは、投資額に対して最低限用意しておかなければならない証拠金の比率です。信用取引を開始する際は投資額の最低30%が証拠金として必要でしたが、その後の株価変動や代用有価証券の価格下落などに伴い、証拠金の割合が小さくなる場合があります。
委託証拠金として預けている金額が小さくなれば委託証拠金維持率は下がりますし、投資対象で損失(含み損)が出た場合でも維持率は下がります。

その場合でも維持しなければならない最低水準の証拠金率のことと「最低委託証拠金維持率」と呼びます。 割合については各証券会社がそれぞれ定めていますが、法令により最低20%という下限は決められています。ただし、多くのネット証券は20%よりも高い水準を委託証拠金維持率を採用しているところが多いようです。

委託証拠金維持率が変動する仕組み

具体的に委託証拠金維持率が変動する仕組みはどのようになっているのでしょうか?委託証拠金率の計算は以下の計算式で求められます。

委託証拠金率=委託証拠金(調整済み)÷信用取引の投資金額
委託証拠金(調整済み)=証拠金(現金)+代用有価証券(時価)-信用取引建玉の損失

もう少し分かりやすいように例を交えて解説します。

証拠金として現金100万円に代用有価証券として株式A(200万円相当。代用掛目80%)を預けて信用取引を解しました。この場合260万円が委託証拠金となります。信用取引として投資可能額は260÷03=866万円となります。
そして、投資家はある銘柄Bを800万円分購入しました。この時点の委託証拠金率を計算すると以下のようになります。

委託証拠金率=260万円÷800万円=32.5%

さて、この後の株価の変動で委託証拠金率がどのように変動するかを考えていきます。この場合の委託証拠金率を引き下げる要因は、代用有価証券である銘柄Aの株価下落と投資している銘柄Bの株価下落あります。

代用有価証券の株価変動

代用有価証券である銘柄Aのは投資時点では、200万円(証拠金160万円相当)の価値がありました。しかし、この株価が変動した場合はどうでしょうか?例えば、200万円の株価が180万円にまで下落したとします。その場合の、証拠金としての価値は180万円×80%=144万円に減少します。

すると、証拠金の金額は244万円となります。建て玉に変化が無いとすると、この場合の委託証拠金率は30.5%にまで減少します。このように、代用有価証券を利用して信用取引を行う場合は、代用有価証券の価値下落=維持率減少となります。
一方で、代用有価証券の株価が上昇した場合は維持率上昇となります。

建玉自体のマイナス

もう一つは、信用取引をしている建玉自体にロスが生じた場合です。例えば例では800万円の投資をしていますが、この建て玉が損失(評価損)となっている場合には、その評価損分を証拠金から差し引くというルールがあります。

例えば、この場合で建玉に10%の損失が出たとしましょう。この場合の損失額(評価損)は40万円です。このケースでは、信用取引のための委託証拠金として260万円の証拠金がある計算ですが、この260万円から評価損となっている40万円分を差し引きます。すると、証拠金となる部分は220万円となります。

この状態での証拠金維持率=220÷800=27.5%にまで減少してしまいます。仮に20%下落であれば、維持率22.5%、30%下落では17.5%となってしまいます。

最低委託証拠金維持率を下回ると追証が発生する

最低委託証拠金維持率の割合については、証券会社が個別に定めていますが、最低でも20%を下回ってはならないとされています。では、仮に最低委託証拠金維持率を下回った場合にはどうなるのでしょうか?

名前は聞いたことがあるかもしれませんが、「追証」というものが発生します。追証とは「追加証拠金」の略で、最低委託証拠金が基準を下回った場合には、基準を維持するために追加の証拠金を差し入れるということを意味しています。なお、証券会社が定める所定の日時までに追証の差し入れが無い場合は、建て玉や代用有価証券が「強制決済」されることもあります。

 

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